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コンテンツサービスプロデューサー:町田聡さん

プロジェクションマッピングって、誰がつくってるんだろう?

 

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そんな疑問がふと出てきました。私自身プロジェクションマッピングを見た ことがあるし、私の周りに、プロジェクションマッピングのミニチュア版みたいなものを趣味でつくってる人が居て、「プロジェクションマッピングを作り上げ ることを職にしている人ってどんな人なんだろう」と思って、コンテンツサービスプロデューサーの町田聡さんにお話を聞きました。

 

私は最初、プロジェクションマッピングをつくる人が、どんな職業名なのかも知りませんでした。
プロジェクションマッピングがそもそもどうやって始まったのか、「プロジェクションマッピングをつくる」とはどういうことなのか、どうして町田さんはコンテンツサービスプロデューサーという職に就いたのか等、聞いてきました。

 

 ・・コンテンツ・・ 

プロジェクションマッピングとは
②コンテンツサービスプロデューサーとは
  ⑴仕事内容
  ⑵特色(他業種や地域との関わり)
③コンテンツサービスプロデューサーになるまで
  ⑴映像に興味を持ったきっかけ

  ⑵レーザーと出会い、ビデオとリンクした

④仕事の魅力
  ⑴映像の枠の消失
  ⑵お題があること
⑤日本と外国
  ⑴ヨーロッパと日本のプロジェクションマッピングの違い
  ⑵日本のプロジェクションマッピングの展望

読む時間の目安:3分半

 

 

 

いつ、どこで始まったのか



ーーまず最初に、プロジェクションマッピングそのものについてお聞きします。プロジェクションマッピングっていつ始まったんでしょうか?

 

プロジェクションマッピング”自体は昔からあったんですが、プロジェクションマッピング”という言葉が出てきたのは最近になってからです。名前が後から付いた感じですね。

 

1950年代にフランスで美術館のキュレーターが行ったものがプロジェクションマッピングの発祥という説が有力な様です。

 

ただ、”プロジェクションマッピング”をプロジェクションマッピングという言葉で、捉えない方がよいかもしれないですね。映像照明、間接照明として 始まったという発想の方が正しいんです。電球に対して眩しいと捉え、照明を間接的に使う、ヨーロッパの風土だからこそ、できあがったものだと思います。

 

プロジェクションマッピング以前の映像照明と比べ、四角い枠をとったということがとても画期的な点です。

 

 

 
 

2. コンテンツサービス

プロデューサーとは

⑴コンテンツサービスプロデューサーの仕事



 

ーーコンテンツサービスとプロジェクションマッピングってどういう関係にあるんでしょうか?

 

まず、僕はコンテンツサービスの中にプロジェクションマッピングデジタルサイネージがあると、捉えています。

 

3Dって立体映像のことですけど、3Dは世の中では失敗していると思われているんです。3Dテレビって一時期騒いだけど、今聞かないじゃないです か?急激に普及させるという観点では、うまくいっていないというレッテルを貼られてしまったんです。 実際にはそんなことはなくて、3D機能を持ったテレ ビは増えているんですけどね。

 

そういう観点で見て、プロジェクションマッピングが二の舞を踏まない様にしていきたいです。だから、短期的な流行の方向だけに行っちゃうと、よくないんじゃないかなあと考えているところです。

 

 

ーーコンテンツサービスプロデューサーという言葉から、どういう仕事をしているのか、想像しにくいんですが、コンテンツサービスプロデューサーとして、町田さんはどういう仕事をしているんでしょうか?

 

プロジェクションマッピングをつくる上で大切なのは、いかにコンテンツを見る人にスムーズに届けるか、です。見る人がハードルを感じず、楽にコンテンツを受け取ることができるようにすることが目的です。

 

そして、それをやるにはコンテンツだけ作ってもダメなんですよ。システムやオペレーションもきちんとやっていかないと、スムーズに目的を達成できないんです。このバランスが崩れると、上手く行かない。

 

東京駅でのプロジェクションマッピングに関しても、人が集まりすぎて 中止するっていうのは、恐らくオペレーションに問題があったんでしょうね。コンテンツだけではなくて、そういったことにまで気を配ることが必要になってき ます。

 

僕は、コンテンツづくりをしたい!ではなく、コンテンツを作って、適切な形でサービスを提供したいと思っているんです。僕は自分の仕事を、コンテン ツを受け取ってもらうための仕組みをつくるサービスだと思っているんです。その為には素晴らしいコンテンツだけではなくて、オペレーションとシステムを整 えることも欠かせません。

 

”コンテンツをつくって、届けるまで”を円滑に行えるようにするのが、僕の役目です。

 
 
 

⑵特色 -他の業種との関わりや地域との親和性の高さ-


ーー職種上、他の業種の人との関わりは多そうだなと思うのですが、どうでしょうか?

 

映像というのは、映す場所と映すコンテンツが必ず必要です。プロジェクションマッピングに関して言うと、”映す物体”を建物にすることも可能なので、その場所特有のものに映すことで、そこでしかできないものが生まれます。

 

広告以外にプロジェクションマッピングを何に使えるの?って言ったときに、地域開発がぱっと思い浮かびます。
過去に行った事例を挙げると、 逗子で企画したプロジェクションマッピングのイベントがありました。夏休みのこどもを対象とした地域イベントで、逗子を中心として映像で地域の活性化がで きないか、かつその活動が地域のこどもに根差して逗子から多くの映像クリエーターが生まれるようにと考えた企画です。
この企画のためにプロジェクションマッピング協会の石多さんが彼自身が舞台や屋外のイベントでも使っていたプロジェクションマッピングという表現方法を持ち込みました。

 

逗子メディアアートフェスティバル:http://zushi-maf.info/

 
 

3. コンテンツサービス

プロデューサーになるまで

⑴映像に興味をもったきっかけ



ーー映像をつくる仕事をしようと決めた、きっかけはありますか?

 

学生の頃は、大学で学んでいることと将来仕事にすることは直接関係の無いことになるんだろうと考えていました。

 

大学で習ったことはそのうち忘れちゃうというか、将来は学んでいることと全然違うことをしていくんじゃないかなあと漠然と思ってたんですよ。

 

でも今ふりかえってみると、仕事としてやっていることと大学で学んできたことがすごく関連づいている。学んだことがとても活きているんです。

 

ーー大学では何を勉強していたんですか?

 

大学では現代美術を専攻して、そこでビデオアートを学んでいました。いまは死語ですけど(笑)

 

ビデオアートとレーザーを使っていました。それで僕は、自分で何かを描いたりするんじゃなくて、コンセプチュアルな映像を撮っていました。

 

ーー大学で、美術を学ぼうと思ったきっかけは何ですか?

 

僕らが中学生、高校生だった頃って言うのは、”三丁目の夕日”みたいな時代で、テレビを近所で集まってみてるような時代だったんですよね。

 

確か小学生の頃、うちにテレビが来たんですけど、僕はずーっと見てました。それで、中学生の頃、漠然とテレビに関わる仕事がしたい!と思ったんです。中でもカメラマンに興味がありました。

 

その頃っていうのは、メディアの種類も一気に増えた時代で、メディア以外にも家電製品とか、何が来ても新鮮でわくわくしてた時代でした。

 

その流れでビデオも登場して、しばらくしてビデオが誰でもとれる様になった。そのビデオに僕は興味を持ちました。将来は、ビデオを使った制作をし て、生活していきたいと具体的に考えていた訳でなかったですね。こうなろうと思っていたものがあった訳じゃない。純粋に興味を持っただけでした。

⑵レーザーと出会い、ビデオにリンクさせた


ーービデオとは別に、レーザーに興味を持ったきっかけはありますか?

 

大学生の間に10ヶ月ほどアメリカに行ってたんですよ。

 

25セントで通える移民の為の語学学校で、”アダルトスクール”と呼ばれる学校に通っていました。誰でも通える、いつ入ってもいいし、いつ辞めてもいいしっていう感じの学校で、メキシコ人や中南米の人が職を得る為にまずは英語を勉強しようっていう段階で入る学校です。

 

今は、キャリアアップの為に渡米する人もいますが、僕の場合はいわゆる留学とは違いました。そこで、レーザーの技術に驚きました。それをきっかけに大学でレーザーを使って制作をするようになりました。

 

ーーアダルトスクール、面白そうですね!芸術というとヨーロッパのイメージですが、どうしてアメリカに行こうと思ったんですか?

 

MADE IN U.S.A.っていう本に影響を受けました。今で言えば、地球の歩き方のような…ただ、焦点を当ててるのが、場所ではなくて製品なんですけどね。

・・大学を出てから・・

 

大学を卒業後は、ディスコに舞台照明係として就職しました。当初、自分の設計したレーザーを導入してもらいたくて売り込みにいったんですが、それは上手くいかなくて…

 

でも、その話を聞いてくれた人が、「うちのディスコ、一人辞めちゃう人がいるから、入んない?」って声を掛けてくれて、それでそのディスコに就職しました。

 

だから就活とかは一切してないんですよね、周りには教職とる人が結構多かったんですけど。何かやっていかなきゃいけないけど、何やったらいいか分からない。とりあえず、自分のできることをやっていこう、というスタンスでした。

 

最初の頃は、ディスコでバンドの演奏中に使用している、レーザーの記録としてビデオを使っていました。しばらくして、記録媒体だったビデオを作品にしようと思い至りました。レーザーをビデオに収めて、それで作った映像を編集して作品にしたら面白そうだと考えました。

 
 

4. 仕事の魅力

⑴映像の枠の消失



ーー今やっている仕事の魅力はなんでしょうか?

 

”空間と映像”がこれからの僕のテーマです。映像の”枠がなくなっていく”ということに魅力を感じていますね。

 

例えば、サイネージはプロジェクションマッピングに比べて、枠を意識してしまうのですが、プロジェクションマッピングでサイネージができないだろう か?ということを考えているところです。サイネージって色んなところにあるようだけど、あるところって限られているんです。ほとんどが駅なんですけど、人 がいないところにはないんです。駅は否が応でも人が居るので。それで、サイネージは場所が限られてしまうけど、プロジェクションマッピングは集客効果も見 込めます。

⑵自由度の高さではなく、”お題がある”ことの魅力


——町田さんのお仕事は、自分のやりたい様に自由につくるというよりも、色々な条件の範囲内でつくる仕事だと思いますが、もっと自由にやりたいと思うことはありませんか? 
 
企業から広告として、仕事を依頼されることが多く、様々な条件がついてきます。制作の自由は色んな面で制限されますが、それを嫌だとは僕は思いません。 僕にはつくるもの自体へのこだわりというのはないんです。出来ている絵だとか動画だとかよりも行為そのものにこだわりたい。 条件としてお題をもらって、その与えられた条件をクリアする為に、クライアントのゴールを意識しつつ、いかに上手く表現していくかというのはとても面白いです。今までなかったことに挑戦できるということに、僕は魅力を感じます。

5. 日本と外国

⑴日本とヨーロッパの相違



ーー日本と外国のプロジェクションマッピングの違いはありますか?

 

日本では批判の目がないというところに僕は問題を感じています。
善し悪しをはかれる人がいないんです。プロジェクションマッピングをよく分かっていない人がやってしまうのも良くないと思っているんですが、1番いけないのは、それを見て、「あーすごい!」って簡単に言ってしまうことです。

 

善し悪しを図れる人がいないことは、プロジェクションマッピングをダメにしてしまうんです。日本では”プロジェクションマッピングという珍しいもの”として捉えられ、良い悪いで話がされていなくて、いいものにスポットが当たっていないと僕は感じています。

 

それに対してヨーロッパでは、照明から発展した、芸術のひとつとして捉えられるので、プロジェクションマッピングの面白さだったり内容で評価をされます。珍しさだけだと、そのうち「私はもう見たからもういいや」と飽きられてしまうのではないか?というのが懸念です。

 

ヨーロッパでは主に、地域や町おこし分野で使われています。件数は別として、効果は日本に比べて大きいです。日本でも、お寺など日本独自の建造物を活かしたものをやっていきたいなあと考えています。



ーー最後に、日本のプロジェクションマッピングの展望を教えて下さい。

 

日本ではこれから、小さいものが伸びてきます。僕は、「盆栽プロジェクションマッピング」と称しているんですが、一言で言うと自然と人工の融合した ものです。盆栽のように、自然を人工的に加工して小さくすることは日本人に向いているきがするんです。ヨーロッパに対して、日本が特徴を出すとするのなら ここだと思っています。

 

町田さんが制作に携わった作品


円融寺除夜の鐘プロジェクションマッピング2013 東京・目黒 - YouTube


時空の階段 (JIKU NO KAIDAN) ダイジェスト - YouTube

 


S3D Projection Mapping "The 3D BOX" - YouTube

 

 

interview#2

取材・企画 宮本まどか(@goze_tea)

*1:写真:2012年大晦日に円融寺で行われたプロジェクションマッピング。 写真撮影:福原毅